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<連載>『温泉むすめ』と共に歩む 第十一回 ~ 富士河口湖温泉郷・富士急行 金子泰樹さん~

連載11回目となる『温泉むすめ』と共に歩む。今回は、富士河口湖温泉郷においてその取り組みをけん引する、富士急行株式会社・宣伝部の金子泰樹氏にお話を伺いました。大企業がなぜ『温泉むすめ』を活用しているのか、その意図を探っていきます。



◆温泉むすめと、その他のコンテンツとの違い

――まず、温泉むすめを知るに至ったきっかけはなんだったのでしょうか?

金子:もともと温泉むすめを見つけてきたのは、別の部署の女性社員だったんです。そこから、コンテンツとのコラボに詳しいということで私のところに話が回って来たのが始まりでしたね。

――コンテンツとのコラボに詳しいとは、普段はどのような業務をされているのでしょうか?

金子:弊社が所有している遊園地・富士急ハイランド(※)における、アニメやアイドル、番組等のコンテンツとのコラボイベントやキャンペーンの企画を2018年から担当していました。

※富士急ハイランド・ホームページ:https://www.fujiq.jp/

――大きな会社ですと、お話が金子さんの元に来てから、実際に動くまでには時間がかかったのではないでしょうか。

金子:いえ、フットワークの軽い会社なので、とりあえず代表の橋本さんに話を聞いてみようとアポを取りましたね。調べてみたらどうやらエンバウンドさんと弊社は会社がすぐ近くらしいことも分かったので。実際に、取り組みをされている他の温泉地のお話や、プロジェクトの理念について伺って、これは面白そうだと思いました。

――他のアニメコンテンツとのコラボと比べたとき、なにか異なる部分があったのでしょうか。

金子:通常、アニメコンテンツとのコラボは、使用料を払って使わせてもらうというのが一般的です。弊社の場合、集客力のある富士急ハイランドはそれなりの催事予算を持っていることもあり、お金をかけて大きなコラボ企画を動かすことができます。ですが、河口湖エリアとなりますと、ほとんど予算がないため、同じような企画を実施することが難しいという事情もありまして。

――予算がない、というのは他の温泉地さんでもよく伺うお話ですね。

金子:ですので、これまで河口湖エリアでは、富士急ハイランドでやる大型コラボに乗っかる形で時々コラボ施策をやっている状況でした。しかし河口湖エリアだけでも動かせるくらい、温泉むすめの導入のハードルが条件面で低かったことは大きいです。

――条件面以外での違いはありますか?

金子:一般的なアニメコンテンツとのコラボの場合、足を運んでくださるお客さまの多くはグッズ購入を目当てにされています。そうすると、グッズが売り切れる前に現地に行かなければ、という発想になりますよね。データとしても明らかなのですが、来場客数の動きとしては最初の2週間くらいに集中していて、そこからは急な右肩下がりになってしまいます。

――あまり長くは続かないんですね。

金子:ですので、そもそもの考え方が短期的に施策を回すものとなっています。一か月半くらいで終わらせて、次のコラボを、という形です。

――ということは、温泉むすめは一過性ではないのでしょうか。

金子:そうですね。一番の違いとして、温泉むすめは終わりがありません。現地に行けばいつでもそこで温泉むすめの取り組みは行われていますし、これからも継続していきます。何よりファンの方々がそれぞれ自由なタイミングで、どの時期にも安定的にお越しくださっているので、こちらも安心して次の企画を検討できています。

――これまでのコラボとは向き合い方が異なるようですが、河口湖を中心にコンテンツを動かすことで会社的に反対はなかったのでしょうか。

金子:社内ではこれまでの実績もあるので、そもそもの土壌としてコンテンツフレンドリーでした。もちろん、様々なコンテンツとのコラボを経験してきていますから、相応にトラブルも乗り越えてきています。そのうえ、温泉むすめをうまく活用して盛り上がっている温泉地さんの前例がたくさんあったので、乗りやすかったというのもありますね。


▲コラボを紹介するキャンペーンページのビジュアル

◆大きく動き、結果を示して地域を巻き込んでいく

――河口湖温泉さんですと、富士急さんが取り組みを始められてから一気に温泉むすめが広がりましたよね。

金子:私たちが取り組みを始める前から、四季の宿 富士山さんがコラボをされていたので、話を聞きに行ったところ、周りのホテルに声掛けしたこともあるが、なかなか広がっていかないと教えてもらいました。
そこで、社内で検討し、交通網と観光施設を持っている弊社がまず旗を振って大きな展開でスタートさせて、その盛り上がりを地元のみなさんに見ていただいて、そこに乗ってきてもらおうということで、取り組み始めました。
これからスタートする秋のキャンペーンでは、四季の宿 富士山さん、ホテル湖龍さんと3社で連携した施策を企画しています。この先も、来るもの拒まずで、地域で協力し合ってどんどん取り組みを広げていきたいと思っています。

――かなり思い切りのよいスタートですが、なにか理由があるのでしょうか。

金子:河口湖周辺は、富士山を眺めるのに最高の場所ですが、逆に富士山以外の目的のお客さまを呼ぶのが難しいエリアなんです。そして富士山自体も、この地域に限らず静岡県や箱根からでも見えてしまうため、+αで目的になり得るものが必要だと考えていました。そこで、その打開策の一つとしてコンテンツの活用も考えたのですが、残念なことに河口湖周辺と親和性のあるコンテンツはほぼ無い、という問題がこれまではあったんですよね。

――河口湖多佳美はまさしく河口湖を取り扱ったコンテンツですね。

金子:そうなんです。富士河口湖温泉郷の温泉むすめだからこそ取り組みを行なっているということです。

――なにかしらコンテンツをやろう、という発想からの決定ではなかったのですね。

金子:より多くの方に河口湖エリアに来てもらい、その魅力を感じてもらうことが目的ですので、単にコンテンツとコラボしてグッズだけ作っても仕方ありません。そのコンテンツをきっかけに、温泉に入っていただいたり、ご当地のグルメを楽しんだり、観光スポットをまわっていただくことこそ重要だと思っているので。そのためには、取り組みを行なっている土地に、そのコンテンツが根付いていかなければ持続性がありません。温泉むすめならそれが実現できると思えたことが、取り組みを始めた一番の理由ですね。

――実際に始められてみていかがでしょうか。

金子:来た人たちがプラスのイメージを持ってくれるな、という実感があります。また、温泉地それぞれに特色があるなかで、ここはどんなだろう?とファンの方たちがわくわくした目で見てくれるのも楽しいですね。

――ちなみに、河口湖多佳美というキャラクターを最初に見たとき、どんな印象でしたか?

金子:意外だったな、という想いがあります。河口湖は日本の象徴ともいえる富士山のふもとなのに、あえて洋風で、しかも高飛車な感じで来るのか、と。見た目とキャラクター性は合致していても、温泉地に対する組み合わせ方はびっくりで、意外性がありました。

――高飛車に、富士山のような日本一を目指すキャラクターですよね。

金子:そうですね。高飛車という尖った性格な分、SD(デフォルメイラスト)等でギャップを出しやすいですし、容姿も品があって、幼すぎず、誰からも愛されやすいキャラクターだと思っています。
多佳美さま、次はどんな一面を見せてくださるかな・・・と、私もいつもわくわくしています。
また、どちらかというと富士河口湖温泉よりも富士山に紐づけられたキャラクターだと思っていて、『富士を世界に拓く』を創業理念に掲げている弊社としても親近感が沸きます。


▲2022年10月29日(土)から開始される秋季キャンペーンのビジュアル

◆河口湖温泉の目指す高み

――今後、河口湖温泉はどのようになっていって欲しいとお考えですか?

金子:富士河口湖温泉郷は1992年に開かれた新しい温泉地です。温泉に入ることを目的に足を運んでくださる方はまだまだ多くありません。まずは、富士河口湖温泉郷がもっと世の中に認知されて行ってほしいですね。

――河口湖温泉の強みはなんでしょうか?

金子:ほとんどの温泉地さんの認知は「温泉+α」の捉えられ方だと思いますが、富士河口湖町はやはり何といっても富士山がメインであり、「富士山+α」の土地であると考えています。この構図に当てはめたときに「富士山+温泉地」と言えるのは、全国広しといえど河口湖温泉だけではないでしょうか。河口湖温泉は、本物の富士山を眼前に眺めながら温泉につかれる場所なんです。

――銭湯の壁などに大きく富士山の絵が描かれていることはあっても、本物ではないですものね。

金子:河口湖は東京から1時間半と近いため、十分に日帰り可能なエリアです。日帰りで気軽に訪れることができる分、滞在時間が短く、地域の持つさまざまな魅力に触れてもらう機会が少ないという欠点もあります。

――「河口湖周辺」が目的地化することで、人の流れも変わっていきそうですね。

金子:温泉を引いて使っている施設は、実は数が多くて50以上もあるんです。街の活性化のために、日帰りではなく、宿泊客の増加につなげていきたいですね。そのためにも、この温泉むすめの取り組みを通して、「河口湖は温泉地だ」という認知を広めていくことが、とても大事なことだと考えています。

【富士河口湖温泉郷×温泉むすめコラボ特設ページ】
https://bus.fujikyu.co.jp/onsenmusume-kawaguchiko

取材&文 野口大智


『温泉むすめ』と共に歩むシリーズはこちら

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