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湯村温泉旅館料飲組合(湯村温泉温泉むすめ実行委員会)からの手紙「湯村千代ちゃんが生まれて」

いつも応援いただきありがとうございます。湯村温泉温泉むすめ実行委員会の朝野拓磨です。

このような場で皆様に感謝を申し上げる機会を頂けることをとてもうれしく思います。

SPECIAL YUKEMURI FESTA in湯村、温泉むすめトークイベント in 有馬涼風川座敷、東京での観光大使授与とイベントが続いた湯村千代ちゃんですが、様々な経緯があり湯村温泉という土地に誕生しました。

時はさかのぼること数年前・・・。

大学を卒業した私は旅館業を引き継ぐか否かをとても悩んでしました。

NHKで放送されたドラマ「夢千代日記」で湯村温泉が盛り上がっていた時からすでに38年・・・。
当時から考えれば客足はかなり衰え、15軒あった旅館も10軒ほどとなり、人々の記憶からも徐々に消えつつある温泉地、それが湯村温泉でした。
町も第二の夕張市と例えられるほど若い人材がいなくなり、超高齢化社会を迎えていました。

果たして、湯村の町に帰る意味はあるのだろうか?と遠く離れた別会社に就職した私は考えていました。

そんな自分に待ち受けていたのは、別会社での過酷な労働とイジメの日々でした。

私は半年もしないうちに肉体的にも精神的にもボロボロになり、退職を余儀なくされました。
そして、湯村に帰郷した私は居た堪れなさとトラウマにより、不眠に陥っていました。そこからさらに1年間の引きこもり期間をすごし、リハビリも兼ねて実家の旅館でアルバイトとして働いていた私は、仕事から逃げた事、旅館の息子としての責任を果たせなかったことを深く後悔し、これからの人生が不安でいっぱいでした。

そんな私を救ってくれたのが、古い顔なじみの人たちや、古くからいる従業員の温かな優しさでした。
当時は生気がない顔をしていたのでしょうか、とても心配してくれたり元気づけてくれたりしていただいたのを今でもはっきりと覚えています。

私はこの人たちのいる、この湯村温泉を、この町を守っていきたいと強く思いました。
しかし、特に何か行動を起こせることもなく年月だけが過ぎ去っていくのでした。

そんな私にある日、転機が訪れました。そう「温泉むすめ」との出会いです。
私は父の友人から有馬温泉内で活用されている「温泉むすめ」について教えていただきました。

アニメ・ゲームが“がっつり”大好きな私にとって、キャラクターを使っての地方創生はおもしろい試みだなと思いましたが、当時の私はキャラクター商法の難しさを聞いていたこともあり、あまり乗り気ではありませんでした。高齢者が中心の湯村温泉では、逆に負担になるのでは?と。

しかし、有馬温泉での活用を聞けば聞くほど、もし温泉むすめを利用することができれば、この無名な湯村温泉も多少は話題になるのではないだろうか・・・と少し興味がでてきました。

「たぶんいるはずだから調べてみよう」と温泉むすめの公式サイトを調べてみても湯村温泉の温泉むすめはおらず・・・そうこの時はまだ、湯村千代ちゃんはいなかったのです。いなかったのです・・・。

湯村温泉のキャラクターがいなかったことに少しカチンときた私は温泉むすめの公式サイトの問い合わせフォームから、ダメ元でキャラクタ―創作のお願いを送ったのです。

そして・・・。3か月という月日が流れました・・・。

半分諦めかけていた時、エンバウンドの橋本代表からキャラクターを作りましょう!と返信が返ってきました。
あとで聞いた話では湯村千代ちゃんは温泉地からのオファーで生まれた温泉むすめ第一号だそうなのです。

そこからはかなり速さで色々なことが決まって行き、2018年10月の神戸でのお披露目イベントまではあっという間でした。

当日は、商工会青年部部長と一緒に見学させていただきました。
まるで会場とファンが一体のようなステージの熱狂に、湯村温泉に足りないものは、この熱量だと感じました。
しかし、このような熱量の高いイベントをするには、これからもっと頑張らないといけない。
そのためにまずは町の皆さんが温泉むすめを知ることから始めようと思い到りました。

今年の1月中旬、橋本代表に湯村にお越しいただき、温泉むすめ説明会を開催しました。
その時に、湯村温泉の過去、現状、そして湯村温泉をどうにかしたいという気持ちを伝えました。

そんなおり、橋本代表から1本の連絡が入るのです。

神戸イベントのリベンジ公演をしたいと思いますが、湯村温泉さん、開催地に立候補しませんか?・・・と。
確かに前回のイベントでは湯村千代ちゃんの担当声優である高木美佑さんが体調不良でお休みになってしまったことが非常に残念でしたが・・・。
「リ、リベンジ公演ですか?」「はい、高木さんがぜひファンの皆様の前で、練習の成果を披露したいとおっしゃってます」

キャストさんからそのように言っていただけるとは夢にも思わず・・・。
「チャンスの神様は前髪しかない、掴まなきゃ!やらなければならない!きっと湯村のためになる・・・!!!」
夢ホールでのイベント開催が決定するのでした。開催は6月・・・、そう残り3か月・・・。

これまでほぼ個人で動いていた私は途方にくれます。

浮かび上がった問題点は主に3つ、
・主体の団体どこにするか
・コラボ商品どうするか
・どうやって人々を巻き込んでいくのか

そんな中、助けてくれたのが湯村温泉旅館料飲組合と湯村温泉観光協会でした。
組合長は有馬温泉での取り組みを知っておられ「湯村のためになるのなら」とご尽力いただき、さらに私の父である観光協会長は様々な人への口添えをしていただきました。傷心で戻ってきた息子に生きる希望と自信を与えるために・・・。他にも地元企業・飲食店を呼んでの湯村千代ちゃんの説明会を行いました。

若者がほとんどいない新温泉町・・・説明会に来られた方はサブカルチャーのことがよくわからず大変苦労しました。

例えば、キャラクターの名前に“ちゃん”とつけてくださいと話した時も何故そのようなことをするのかよくわからないと言った意見がありました。
そこで、「夢千代日記の夢千代には‘さん‘をつけますよね?湯村千代にも‘ちゃん‘をつけることは何らおかしい事ではないんですよ」という感じで、みんなが知っている「夢千代日記」にからめながら説明すると意外すんなりと理解して頂けました。

しかし、一番苦労したのは、町民への説明でした。
湯村にはコスプレをした人で賑わう「かくれんぼ大会」というイベントがあるとはいえ、前述した通り大半の人がサブカルチャーのことをよくわからず最初は批判や心配もかなりありました。

当日は湯村温泉祭りがあり、イベントの間に町を上げての菖蒲大綱引きがあり、人手を取られるのではないか?
オタクと言う変な人たちがくるんじゃないのか?そもそもそんなに人がくるのか?など。
私自身の説明の下手さやあいまいな説明もあり、なかなか難航しました。
何度も人に会い、話をさせて頂く中で地元企業・飲食店さん達も解って頂き、協力してくださる方々も徐々に増えてきました。

そうして、問題を少しずつクリアしなんとかなんとか当日を迎えました。

イベント終了後・・・。

町の方々から「久しぶりに若い人がたくさんいて嬉しかった」「今度はいつするの?」「祭りにたくさん人がきた」「とても礼儀正しい人たちで逆に恐縮してしまった」など、たくさんの声という声を聞きました。

特に感慨深かったのが「今の人々は様々な問題で疲れていて何かに癒しを求めている。今回のイベントで温泉地の癒しの力と2次元コンテンツの癒しの力が合わさって、たくさんの人に活力を与えられたのではないだろうか」という意見でした。
この言葉に自分はイジメを受けて湯村に帰ってきた時のこと、様々な方に活力を与えられたことを思い出しました。

さらに、7月15日には荒湯近辺でゴミを拾う人たちの姿がありました。

キャラクターの誕生日にあわせてファンの方が清掃活動をはじめていたのです。
これにも、地元の方はとても驚いており温泉むすめさんの力をあらためて感じました。

そして、多くの評価を受けたことで、新温泉町は湯村千代ちゃんに観光大使、高木美佑さんには特別観光大使に決定。9月6日に町長、観光協会長と共に東京での授与式に臨みました。

少しずつですが、私たちの湯村温泉は歩き始めています。
これからもたくさんの困難が待ち受けているでしょう。

しかし、私たちはこの湯村千代ちゃんを育てていかなければなりません。

彼女はまだまだ生まれたばかりの赤ん坊なのです。
だからこそ町の色で様々な色に変わることができると信じています。

そう、かつて湯村温泉を盛り上げた夢千代の名前を受け継いだ湯村千代ちゃんと共に。

町が昔の活気ある日々になるよう、微力ですが、これからも力添えさせていただけたらと思います。
ファンの皆様、千代ちゃんを愛していただき本当にありがとうございます。
そして、これからもどうぞよろしくお願いします!

激熱!沸騰!!

湯村温泉温泉むすめ実行委員会 朝野拓磨

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