story おはなし

温泉むすめショートストーリー 「白熱! 飯坂けんか祭り屋台会議!」

○真尋の部屋・室内
真尋「それでは! 本日のイベントの大成功を祝して……、乾杯!」
泉海・八弥・歌蓮「(それぞれに)カンパーイ!」
真尋「(飲んで)ぷはーっ! やっぱ一仕事終えたあとの酒はサイコーだな!」
泉海「(飲んでうっとり溜息)ほう……。福島は全国屈指の酒どころというだけあって、なかなかのお味ですわね」
八弥「いいなー、みんなお酒飲めて。大人だなー」
真尋「八弥はこの前飲んだ時、(八弥を真似て)『うえ~~っ! 何これ、変な味~!(泣)』とか言ってただろ(笑)。おいしく飲めるようになるまでお預けだ!」
八弥「ぶぅ~。いいもん、わたしは歌蓮ちゃんとソフトドリンク仲間だから!」
歌蓮「は~い。仲間で~す」
真尋「えっ? 歌蓮も飲めないんだっけ?」
歌蓮「あー……。いえ、そういう訳じゃないんですけど~」
真尋「なら遠慮すんなって! どれにする?あたしがついでやるよ」
歌蓮「(実は飲みたく、ニヤニヤ)え~、そうですかあ~? 仕方ないので~、それなら一杯……」
泉海「(被せて)ちょ~いちょいちょい!」
真尋「うわ! どうした泉海?」
泉海「むっ、無理にお酒を勧めるのはいかがなものかと!」
真尋「(ちょっと反省)あ、そっか」
歌蓮「いえいえ、むしろ勧めてください♪」
真尋「(嬉しく)なんだ、じゃあ一杯……」
泉海「(被せて)ほあーーーーーーーっ!」
真尋「何だよ」
八弥「もう酔っちゃったの?」
泉海「歌蓮さん! 飲まない! 約束!」
歌蓮「え~、でも~……」
泉海「(睨んで)か・れ・ん・さん!」
歌蓮「(圧倒され)は~い……」
八弥「なんかアイコンタクトで通じ合ってる~! 大人っぽ~い♪」
真尋「大人は打ち上げの一杯目からこんなに荒れないと思うんだが……。
まーとにかく、ひとつイベントが終わって、次は『飯坂けんか祭り』だな!」
歌蓮「飯坂けんか祭り? それ何ですか?」
八弥・泉海「ええっ?!」
歌蓮「え?」
真尋「お前……ウソだろ!? それ知らないまま飯坂でイベントやってたのか!?
飯坂けんか祭りってのは、毎年十月に『飯坂八幡神社(いいざかはちまんじんじゃ)』で開かれる例大祭のことだよ!」
歌蓮「はあ……。それがなんで『けんか祭り』なんですか~?」
真尋「おいおいおいおい!?」
八弥「ホントに知らないんだね~……」
真尋「クライマックスの宮入りで、たくさんの屋台が激しくぶつかり合うんだよ! それが迫力あってけんかみてーなの! 飯坂が誇る『日本三大けんか祭り』の一つだよ!」
歌蓮「へ~♪ ちょっと怖いですね~♪(もぐもぐ)」
真尋「ぜってー怖がってねえ……」
泉海「普通にいかにんじん食べてますわね」
八弥「歌蓮ちゃん、今年のけんか祭り一緒に行こうよ! 普通の屋台もいっぱい出てて楽しいよ!」
歌蓮「あ♪ いいですね~」
真尋「ったく……。でも、そういや一度も普通の屋台出したことねーな、あたし。いつも神輿担ぐか、太鼓叩いてるしな」
泉海「そうなんですね。ご興味があるなら出してみたらいかがですか?」
真尋「ん~……(考え)。よっしゃ、出すか! みんな、どんな売りもんがいいと思う?」
八弥「はいはい! わたしは円盤餃子がいいと思う! 名前がUFOっぽくてかわいいから!」
真尋「UFOっぽいってなんだよ! 名前に円盤ってついてるからか!?」
歌蓮「わたしはいかにんじんがいいと思いま~す。あとはタコわさとか、蟹みそとか~」
真尋「全部酒のつまみじゃねーか! お前やっぱ酒好きだろ! 飲むか!?」
歌蓮「あ、それじゃあ~♪」
泉海「(遮って)飯坂ラーメェェェェン!」
真尋「どわ!?」
泉海「はあ、はあ……。ここはやはり……飯坂ラーメンで……!」
真尋「提案しながら邪魔すんじゃねえ!
つーか、飯坂グルメもいいけどさ、もう少しインパクトが欲しいんだよなー。せっかく屋台で出すんだから」
泉海「いんぱくと、ですか」
歌蓮「となると、お祭りでは見かけないメニューの方がいいかもしれませんね~」
八弥「わかった! オムライスは?」
真尋「オムライス?」
八弥「真尋ちゃんがメイドさんの格好して、ケチャップでハートを書いてあげるの!
『おいしくな~れ、萌え萌えきゅるるん☆』って、かわいい呪文を唱えながら!」
真尋「オムライスよりメイドのがメインじゃねーか! あたしには似合わね~よ~」
泉海「あのー、めいどとは一体……?」
八弥「わたしメイドさんの格好したことあるんだけど、フリフリで超かわいいの! インパクトあるし、絶対売れるよ!」
真尋「(引き気味で)そ、そうかあ~?」
歌蓮「(雑)いいな~。わたしも真尋ちゃんにおいしくなる呪文唱えてほしいな~♪」
真尋「お前はテキトー過ぎなんだよ!」
泉海「あのー、みなさん、メイドとは……」
八弥「四の五の言わずにやってみよー!
 ほら真尋ちゃん、わたしのあとに! おいしくな~れ、萌え萌えきゅるるん☆」
真尋「はあ~!? し、仕方ねー……。
お……おい、おい……(覚悟を決め)おいしくな~れ、萌え萌えきゅるるん☆」
八弥「かわいいー!」
歌蓮「(客席に)は~い皆さん、拍手~♪」
真尋「は、恥ずかしすぎて死ぬ……!」
泉海「えっと……今のが『めいど』の代表的な台詞なのですか?」
歌蓮「そうなんです~」
真尋「ウソつけ!」
歌蓮「泉海ちゃんもやってみましょっか。いきますよ~?」
泉海「えっ? わたくしもですか!?」
歌蓮「おいしくな~れ、萌え萌えきゅるるん☆」
泉海「(ピンとこず)はあ……(プロっぽく)おいしくな~れ、萌え萌えきゅるるん☆」
歌蓮「泉海ちゃんにも拍手~♪」
八弥「って感じで、どう? 真尋ちゃん!」
真尋「(即答)却下だよ!」
八弥「え~っ! そんな~!」
歌蓮「かわいかったのに~」
泉海「他には……そうですね、果物はいかがですか?」
真尋「おお! それは名案だな!」
歌蓮「福島はフルーツ王国ですしね~」
八弥「今が旬のフルーツって何なの?」
真尋「巨峰、マスカット、あと梨かな。全部、福島自慢のフルーツだぞ!」
泉海「せっかくですから愛媛のみかんも一緒にいかがですか? 飯坂温泉と道後温泉で共同屋台をいたしましょう!」
真尋「共同屋台……コラボってことか?」
泉海「こらぼ?」
八弥「わぁ! それいいかも!」
歌蓮「より華やかになりますね~」
真尋「悪くねーけど、もう一工夫ほしいな。フルーツそのまんま売るだけじゃなくて、パフェにするとか……」
歌蓮「(続けて)お客様が買ったフルーツの皮を、真尋ちゃんが剥いてあげるとか~♪」
真尋「うぇ!?」
八弥「あ、いいねそれ!」
真尋「それの何が嬉しいんだよ!?」
泉海「真尋さん、皮剥きを甘く見てはいけませんわ。みかんの剥き方ひとつとっても、色々あるんです!」
真尋「は?」
泉海「みかんの実を皮にくっつけたまま横一列に並べる『イモムシ剥き』! 皮でベルトを作り、腕時計のように手首に巻く『腕時計剥き』など、剥く人の技術が試されるのです! ですよね、歌蓮さん!」
八弥「ちがぁーーーーう!」
泉海「ひいっ!? 八弥さん!?」
八弥「真尋ちゃんに剥いてもらうことが大事なの! 技術じゃなーーい!」
泉海「で、ですが、たとえばみかんの白い筋にはヘスペリジンという栄養素が多く含まれているので、剥き方ひとつで……」
歌蓮「泉海ちゃん……。唐変木でかわいいですね~♪」
泉海「唐変木!?」
真尋「(呆れて)リアルで唐変木って初めて聞いたぜ……。
つーか、うちの屋台なのに愛媛のみかんに乗っ取られそうじゃねーか!」
八弥「あはは……。確かに」
真尋「意外と決まらねーもんだな……」
歌蓮「こういう時はお酒ですよ~♪ みんなで酔って~、アイデア出しましょ~」
泉海「(ギョッと)か、歌蓮さん!? 約束は……!」
歌蓮「泉海ちゃんが唐変木でアイデア出ないからな~♪ しかたないな~♪」
泉海「くっ……! 痛いところを……!」
真尋「よし、今度こそあたしがついでやるよ。歌蓮、コップ出せ」
歌蓮「は~い♪」
真尋「行くぞー。よっ、とっ、とっ、と」
泉海「あぁ……あんなについじゃって……」
八弥「(うるうる)歌蓮ちゃん……。ソフトドリンク仲間、卒業だね……!」
歌蓮「うふふ。ごめんなさ~い♪
 ではみなさん♪ いっただっきま~す♪
 んっ、んっ……(セクシー)はあ……♪」
泉海「ついに歌蓮さんがお酒を……! わたくし、どうなっても知りませんわよ……」
真尋「なあ、さっきから何なんだ?」
八弥「歌蓮ちゃんに飲ませたくない理由でもあるの?」
泉海「実は……歌蓮さんはお酒を飲むと、狼になってしまうんです!」
真尋「狼ぃ?」
八弥「って、どういう意(味)……」
歌蓮「八・弥・ちゃん♪ ふぅ~~~~っ♪(耳に息を吹きかける)」
八弥「どわひゃあーーーっ!? ちょ、いつの間に隣にってか耳! 今、耳に息!」
歌蓮「(イケボで)うふふ……♪」
八弥「な、なんか顔近くない?!」
歌蓮「(イケボで)きれいな肌ぁ……♪ 太ももなんか白くて細くて、つつーっ……」
八弥「にゃーーーーん!?」
真尋「撫でた!? あいつ今、指で八弥の太もも撫でたぞ!」
泉海「いえ、ここからですわ!」
八弥「(ドキドキで)た、退避! 退避ーっ!わたし、ちょっとトイレに……きゃっ!」
歌蓮「きゃんっ♪」
真尋「床ドンだーーっ! 八弥が勢い余って歌蓮を押し倒しやがった!」
泉海「自分から迫っておいて最後の一押しは相手にさせる! まさに究極の肉食獣ですわ!」
八弥「ご、ごめん! あの、わたし……!」
歌蓮「(イケボで)いいよ……♪」
八弥「どっきーーーーん!!」
歌蓮「(イケボで)おいで、八弥ちゃん……♪」
八弥「(とろんと)う、うん……」
真尋「おいおいおいおい!? マジでキスする5秒前だぜ! 5・4・3・2……!」
泉海「そこまでーーーーーーっ!」
八弥・歌蓮「きゃん!」
泉海「ほら歌蓮さん! わたくしの肩につかまって、ちゃんと座って……ひっ!?」
歌蓮「(イケボで)酔っちゃった……? 泉海ちゃん、胸貸して……?」
泉海「ちょっ、歌蓮さん?!」
歌蓮「(イケボで)ふふ……態度は硬いのに~、体はふ・わ・ふ・わ♪」
泉海「絡みつくなーーっ! きゃあっ!?」
八弥「あーーーーっ!」
真尋「今度は泉海が歌蓮を押し倒した!」
泉海「す、すみません! 今すぐ離れ……って、か、体が動かない……!」
真尋「ホールドだーっ! 歌蓮が泉海の首に両手を回してるーっ!?」
歌蓮「(イケボで)もう離さないよ……?」
泉海「ひっ! だ、誰か……!」
八弥「ストーーーーップ! 離れて離れて!」
真尋「八弥!?」
泉海「(ホッと)八弥さん、ありがとうございます。助かりました(わ)……」
八弥「泉海ちゃん! わたしの歌蓮さまに何やってるの?!」
泉海「はい?!」
八弥「歌蓮さまは最初にわたしを選んだの!
後から入ってきて横取りしないで!」
泉海「何を言ってるんですか!? わたくしは八弥さんを助けようと……」
八弥「余計なお世話だもん! 泉海ちゃんのお邪魔虫!」
泉海「八弥さんの王子様は真尋さんじゃなかったんですか!?」
歌蓮「うふふ♪ 私のためにケンカする二人もす・て・き?」
泉海「ちょ、引っ付かないでください!」
八弥「歌蓮さま! わたしはいつでもウェルカムです!」
真尋「すげえ……。何度押されても押し返して、激しくぶつかりあう……まるでけんか祭りだぜ!」
泉海「真尋さん! さっきから見てないで、歌蓮さんにお水を……!」
真尋「しゃー! あたしも混ぜてくれ!」
泉海「はい!?」
真尋「やっぱ屋台はやめだ! あたしの生きる道は、けんか祭りにこそある!」
泉海「何の話ですか!?」
歌蓮「素敵……?(イケボで)さあ、真尋ちゃんもおいで……?」
真尋「望むところだ! 本気でいくぜ!」
八弥「ああ……! アツくなってる真尋さまカッコイイ……! でもでも、狼の歌蓮さまもカッコイイ……! あ~ん! わたしどっちに食べられればいいのー!?」
泉海「勝手にしてくださーーーーい!」

(おわり)

written by Miyuki Kurosu

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